有給は、何日与えれば良いのか?有給を使える日、使えない日は?

2018.05.24

有給とはそもそもどのような制度なのでしょうか?
そして、いつ、何日間与えれば良いのでしょうか?
ここでは有給の基本(付与の条件、日数等)についてご説明いたします。

有給とは

有給とは正式には「年次有給休暇」といい、「労働義務を免除する」制度です。労働者の心身の疲労を癒し、ゆとりある生活を送る為に、会社が労働者に対し勤続年数に応じた日数を与える制度であり、労働基準法第39条で定められています。

労働しなかった場合は通常、賃金はその分減額されますが、労働者が有給を行使した場合は、「有給」の名称のとおり、休んでも賃金は控除されることはありません。

有給 ⇒ 休んでも給与は減額されない。

有給は原則、労働者は好きな時期に会社に対して請求することができるものです。

有給付与日数の計算方法

有給の付与日数は、入社日から起算した6ヶ月間及び以降1年を経過した日に於いて、出勤日として定められた日(契約で定めた日)について80%以上、出勤した場合において、勤続年数に応じた日数分が付与されます。

正社員については、一般的にフルタイム契約ですので通常の労働日(週5日勤務を想定)が契約で定めた日が労働日になり、入社後の6ヶ月間に於いて、前述労働日の内、8割以上の出勤実績があった場合は、10日の付与となります。

その後、勤続年数に応じて、入社日から起算して6ヶ月を超えて継続勤務する日及び以降1年を経過した日ごとの日(以下「基準日」という)毎に以下表の日数を付与します。

・勤続年数6ヶ月 →付与日数:10日
・勤続年数1年6ヶ月 →付与日数:11日
・勤続年数2年6ヶ月 →付与日数:12日
・勤続年数3年6ヶ月 →付与日数:14日
・勤続年数4年6ヶ月 →付与日数:16日
・勤続年数5年6ヶ月 →付与日数:18日
・勤続年数6年6ヶ月以上→付与日数:18日

有給の繰越と時効とは

有給の時効は2年となり、前年に付与された日数を引き継ぐことができます。

例えば、勤続年数が3年6ヶ月の労働者で、
1日も有給を使用しなかった労働者の場合

・本年3年6ヶ月経過日に付与された14日
・昨年2年6ヶ月経過日に付与された12日

合わせて計26日有給を所持することになります。

有給付与の最大日数は20日となりますので、(勤続年数6年6ヶ月以上の労働者)6年6ヶ月以上勤務している労働者は以降、毎年20日ずつ有給が付与され続けることになり、7年6ヶ月以上、勤務している労働者は最大40日の有給日数を保持し続けることになります。(1日も有給を使用しなかった場合)

逆に言うと、労基法通りの定めをしている会社の場合、7年6ヶ月以上勤務している労働者であれば、勤続年数が何年になろうとも、「40日以上の有給を所持している労働者はいない」ということになります。

有給を使用できる日

有給とは、労働日(契約上、働かなければならない日)の労働義務を免除するものですので、そもそも労働義務がない日(例えば土、日、祝日等、会社が休日と定めている日)については有給を使用することはできません。
その他、産休中、育児休業中の労働者等もその間、有給を行使することはできません。何故なら、産休・育休は労働者が会社に対し、自らが休むことを申請している(労働義務免除の申出をしている)状態ですので、労働日とはならず、労働日でない以上、有給は行使できません。

有給の与え方「時季指定と時季変更」

有給取得ですが、労働者は自らが希望する時季を指定することができます。
(時季指定権)

労働者が有給を希望した場合、請求する日に与えなければなりませんが
「指定された時季に有給を与えると事業の正常な運営を妨げる場合」に於いては、指定された時季を変更することができます。
(時季変更権)

事業の正常な運営を妨げる場合、労働者の有給希望日を拒否又は他日に変更することは可能ですが、変更する場合は、以下要件等を総合的に勘案する必要があります。

事業の内容、規模、担当業務、担当業務の繁忙状況、代替要員の有無、同時期の有給取得者数、労働慣行等

時季変更権を行使するには、上記を総合的に判断する必要があります。