休職時に起こりやすい労務トラブル

2021.02.24

休職手続きは対応方法を間違えるとトラブルに発展する可能性もありす。以下に、休職対応に係る事項のまとめ及び休職に係る留意点をご紹介します。

社会保険料の徴収

毎月一定日に指定口座に振り込んでもらう等の取り決めが必要です。(保険料を控除すべき賃金が発生しないため)

復職時にまとめてといった方法もございますが、金額が大きくなってしまいます。
傷病手当金を受給できるのも、保険料を払っているから・・・といった周知が有効的です。

有給使用について

有給の使用を本人が求めた場合ですが、これは休職命令発令日の前であるか後であるかにより、大幅に異なりますのでご注意下さい。

●発令日前
有給取得の目的は、原則として自由です。
よって、本人が病気治療の為に有給取得を希望した場合、付与しなければなりません。

●発令日後
休職とは、休職命令により、労働義務のある日の労働を免除することです。そして有給は労働義務がない日は、取得の余地はありませんので、付与する必要はありません。

休職満了時の退職について

定められた休職期間に復職できなかった場合は、期間到来による退職となります。解雇ではありませんので、慎重な説明が必要です。

復職時における注意点

復職可能の診断書を理由に復職を迫ってくる場合があります。

御社の業務を熟知した医師が復職可能と判断するならともかく、
一般的に主治医は患者の気持ちを第一に考えがちです。

診断書はもちろん、参考にする必要がありますが、復職の可否判断は、あくまで会社が行うものです。

そして、どう考えても不可能と見受けられる場合は、主治医の診療に同席することや、意見を聞くこと、会社が指定する医師の診断を受診を促す必要があると思います。

主治医と会社が指定する医師との見解が分かれた場合は、会社が指定する医師の意見を優先する方向で進める必要があると思います。

復職後の通勤時のトラブル

復職した場合であっても、投薬を継続している場合は注意が必要です。特に精神疾患の場合、強い薬の副作用等でふらつくこともあります。

仕事だけでなく、満員電車や駅階段の昇降に耐えられるか否かも判断材料として下さい。

社員が休職命令に応じない

不調であることを認めず、通院または休職を拒む場合もあり得ます。

その場合、医師による面談等を実施し、休職についての理解を促す必要が生じます。
労働者の安全配慮義務は使用者にありますので、その一環として必要性を説くことをおすすめします。

使用者には、労働者の健康、安全、風紀等を守る必要があります。(安全配慮義務)

また、快適な職場形成を維持する為の責任もあります。(使用者責任)

仮に労働者が休職に応じないからといった理由で休職を発令しない、または復職できる状態にないにも関わらず復職させることにより、病状を悪化させてしまうこともあり得ますので、慎重な対応が必要です。

休職発令、復職可否は会社の指揮命令権により行いますが、それだけでなく、会社が指定する医師の医学的な裏付けを取ることが良いと思います。

社内ルールの運用に医学的根拠を重ねることが、一番のリスクヘッジになります。

尚、休職期間中は労務提供がありませんので無給扱いとなります。
(NO WORK NO PAY)

休職期間中に賃金の支給がなく、且つ、医師が労務不能と認めた場合に於いては、健康保険から傷病手当金が労務不能期間分(最大1年6ヶ月)支給されます。